レバノン留学者向け情報

レバノンは現在、極めて人気の高い留学先の一つですが、残念ながら留学生向けの情報は多く発信されていません。今後益々増えるであろうレバノンへの留学生向けに、留学お役立ち情報を発信します。

空港から市内へのアクセス

 ほとんどの留学生は、空路でベイルート入りするはずである。ベイルートはイスラエルとシリアと国境を接しているが、不幸にも現在、陸路でのレバノン入国は極めてスリリングな旅となるであろう(知り合いのシリア人によれば、シリアからレバノンへの道路は2017年11月現在比較的安定しているようで、現に私の知り合いの複数のシリア人が往来しているが、外国人は避けた方がいいかもしれない。このあたりは専門家でないのでよくわからない)。

 ベイルートのラフィーク・ハリーリー国際空港についた留学生たちは、住まいが決まっていれば住まいへ、決まっていなければ宿へ、それぞれベイルート市内の目的地へ向かわなければならない。本稿では、留学生の参考となるであろう、ラフィーク・ハリーリー空港からの市内アクセスについて記す。

 

 レバノンには現在残念ながら鉄道はない。また、空港から市内へは(「市内」の範囲によるが)おおざっぱに言って6〜12キロほどであるから、重い荷物を(場合によっては複数)持ち、土地勘もなく、SIMカードがないのでGoogle Mapもなく、この距離を長旅の直後に徒歩で移動するのは厳しい。従って、現実的には、自動車で市内の目的地に向かうことになる。

 

 収入の少ない留学生にとって、交通費はなるべく安く抑えたい。従って、バスがあれば好都合である。とはいえ、残念ながら空港の到着ロビーから市内へ向かう空港アクセスバスなどというものはこの国には存在しない。空港から少し歩いたところに市内バス5番が発着しているという情報があるが、筆者はまだ確認していない。また、地球の歩き方によれば、空港の出発ロビー(2階)から、ミニバンがたまにやってきて客を乗せるとのことだが、これも筆者はまだ確認していない。いずれにせよ、こうしたバスは、土地勘がないとどこで降りればよいのか、どこで降ろされるのか、降ろされた場所からどうやって目的地に向かえばいいのか、よく分からないし、そもそもバスは当然リムジンバスではなく、ミニバンやおんぼろの中型バスなので、多くの荷物をもった留学生にとっては不向きである。直接目的地まで運んでくれるタクシーに乗った方が良いだろう。

 レバノン関係者の知り合いがいる場合、運転手を紹介してくれるかもしれない。またホテルがタクシーを手配してくれる場合もあるかも知れない(ホテル手配のタクシーが30ドル以下なら利用することをお勧めする)。しかし、ここでは自力でタクシーを確保する場合について記そう。

 

 レバノンで最も安くタクシーの乗る方法はUberである。Uberなら空港から市内まで15ドル前後である。しかし、Uberを使うにはネット環境が必要だが、初めてレバノンに着いた留学生は、レバノンで使えるSIMカードがない場合がほとんどだ。空港にWifiもあるにはあるが、2017年9月時点では有料で、空港内の売店でクレジットを買わなければ使えず、そもそもどこでクレジットが買える売店があるのか筆者はよく分からない。ローミングを使ってUberに乗るくらいならリムジンでも予約した方が良い。従って、到着初日の留学生にとって、Uber利用は残念ながらハードルが高い。

 

 となると、空港の前に待機しているタクシーに乗るしかない。ところが、空港到着ロビー前のタクシー事情は、時期によって変化するようなので、到着してみないとよく分からない。そのため本稿おすすめの市内アクセスは、「空港に来てみて、到着ロビーを出て、様子を見てタクシーに乗る」という、全く役に立たないアドバイスになってしまう。それではあんまりかと思い、ここではあくまで参考として、2016年3月と2017年9月の筆者の経験を記す。

 2016年3月に筆者がレバノンを訪れた際、到着ロビーの外へ出ると、多くのタクシー運転手が待機しており、口々に「Taxi?」と聞いてきた。その内一人に声をかけると35ドルというので、15ドルと返すと(ネットで事前に調べた限り、最低価格は15ドルとの情報があった)、他の運転手を指さして、彼の所へ行くよう言われた。しかし、その運転手の許へ歩いてゆく途中、他の運転手に話しかけられ、20ドルでよいというので、彼について行くことにした。彼は私を連れて2階の出国ロビーへあがり、その前に止めてあった車でホテルの目の前へ送り届けてくれた。

 2017年9月にベイルートへ到着した際は、同じように20ドルくらいで市内に向かおうと考え、とりあえず到着ロビーの外へ出てみたが、予想を裏切り誰も私に感心を示さない(こんなことは中東の空港では初めてである!)。仕方がないので自分からロビーの前で待機している白塗りのタクシー(空港タクシーのロゴが入っている)に近づいてみると、40ドルだという。さすがに高いと思って断り、しばらくぷらぷらしてみたが、近辺には他に運転手もいない。背中と腹にリュックを背負い、大きなスーツケースも持っていたので、早く宿に着きたい。仕方なく先ほどの運転手の許へ戻り、40ドルに合意して載せて貰った。空港を出発する際には、軍人が車を止め、車のナンバーと私の名前、行き先をノートに記録する(聞くところによれば、これは最近始まった仕組みらしい)。空港を出る時、運転手が何やら装置をいじっているので見てみると、なんとメーターのスイッチを切っていた。メーターがあったとは!(後に聞いた所、これも最近ついたもので、メーターだと市内まで約35ドルらしい)この運転手はめんどくさがってホテルから10メートル離れた所に止め(荷物が多いのに!)、荷下ろしすら手伝わなかったにも拘わらず、チップまで要求する厚顔。もちろんチップなどくれてやらない。

 

 ということで、これを読んでいる留学生が着く頃にはまた状況が変わっているかも知れないが、こうした経験を参考にしてアドバイスするなら、余裕があれば2階の出国ロビーにあがってタクシーを探す、1階のタクシーに乗る場合でもメーターの有無を(もちろん目で見て)確認し、あれば回させる、といったところだろう。だが、荷物も多く長旅の後なので、交渉ごとは避け、40ドルくらい初期投資だと思って乗ってしまってもいいかもしれない。上述のように、ホテルが30ドル以内で手配してくれるなら、手配を頼んだ方が一番いいように思われる。

 

 また、中には詐欺も存在するという情報をネットで読んだことがある(私の知り合いには詐欺に遭った人はいない)。特に空港公認でないタクシーを利用する場合、当然リスクがあることは認識しておいてもいいかもしれない。